ーリキイには「主人が下男に対し、酒場の給仕に対するような粗暴さのある無関心なもののように思われた。が、彼自身はそれに気がついていなかった。」客達を送り出しておいてから彼はよくゴーリキイを泊らせた。ゴーリキイとデレンコフとは「部屋を掃除し、それから床《ゆか》の絨毯の上に横わりながら、わずかに燈明の光りだけに照らされた暗の中で長いこと親しく囁き声で話し合った。」デレンコフは信頼のこもった静かな喜びをもって、ゴーリキイに語るのであった。
「こういう人達が幾百、幾千と殖え、ロシアで重要な地位を占め、直きに生活の全部を変えてしまうだろう」
デレンコフはゴーリキイより十歳年上で、独身であった。店の収入は僅かだのに、物質的援助をしなければならない「仕事をする人々」の数は益々増して来た。一八八一年三月一日、全く予告なく突発した事情の下に帝位に即かせられることになった酒飲みのアレキサンドル三世は、有名なポヴェドノスツェフと共に極端な反動的政治をはじめ、そのために従来ナロードニキの社会的支柱であったブルジョア自由主義者は甚しく畏縮して来た。更に一八八四年に公表された大学規定は大学生のこれまで持っていた学
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