内自治権を奪い「学生生活のあらゆる微細な点まで干渉する学監、副監督、守衛等によって監視され、更に警察の監視の下に置かれるようになった」のである。この事情が、デレンコフの収支を次第に激しく喰いちがわせる。デレンコフは配慮ぶかく明るい色の髯をひねりながら云った。
「何とか考えなけりゃならない」
 そして、罪ありげに微笑し、重々しく溜息をついた。ゴーリキイは、デレンコフが負っている重荷を見た。彼は一度ならず、いろいろな云いまわしでデレンコフに訊くのであった。
「何故そんなことをするんです?」
 デレンコフはその答えとして民衆の苦しい生活について「本からとって来たように[#「本からとって来たように」に傍点]、不得要領に答えた」
「でも――みんなは知識を望んでいるんですか?」
「どうして。勿論さ! 第一、君は望んでいるだろう?」
 そうだ。ゴーリキイは――望んでいた。
 だが、この陰翳に富んだ、逆説的な分子のこもった会話は、当時のゴーリキイが民衆、学生、デレンコフや彼自身の関係に対して抱いていた複雑な感情の深淵を何と微妙な閃光で我々に啓いて見せることであろう。
 これは、ゴーリキイが、セミョーノ
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