人たちは、学生を打ちに大学へ押しかけようとしているところであった。
「おお、分銅でやっつけるんだ!」
彼等は嬉しそうな悪意で云った。たまらなくなって、ゴーリキイは彼等と論判をはじめた。が、結局自分に学生を護り得るどんな力があるというのであろうか。ゴーリキイの全心を哀傷がかんだ。自分がどこへ行っても、誰にとっても必要のない存在であるという考えが、病的に彼を捕虜にした。夜、カバン河の岸に坐り、暗い水の中へ石を投げながら、三つの言葉で、それを無限に繰返しながら彼は思い沈んだ。
「俺は、どうしたら、いいんだ?」
哀傷からゴーリキイはヴァイオリンの稽古を思い立った。劇場のオーケストラの下っぱヴァイオリンを弾いていたその先生は、パン店の帳場から金を盗み出してポケットへ入れようとしているところを、ゴーリキイに発見された。彼は唇をふるわし、色のない目から油のように大きい涙をこぼしながら、ゴーリキイに訴えた。
「さあ、俺を打ってくれ」
二六時中彼を不愉快にいら立たせるところのすべてに反抗したい希望が、静かに執拗につきまとった。空虚への反感が喉をつまらせるのであった。
この堪え難かった年の十二月の
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