わけで、つまり子供のうちから女と一緒に働き、一緒に仕事をするということから先ず根本の感情が出来て居るから非常にはっきりして居る。
 又女性の性の必然というものをソヴェト位保護して居るところはない。
 フランスの様な服装の上でまでの性の誇張、そういうことは勿論、ソヴェトにはない。そのないことはそれで又健康であると思う。
             *
 女と男は元来咽喉笛の出来工合から違う。又筋肉、骨格皆それぞれ男女違って居る。男は女の特色を気持よく感じ、又女は男の特徴を気持よく感ずる。それが性それ自身のもって居る美である。女の体が柔かくて、丸くって、男の体が角張って骨が多い。それは性の必然的差別と美しさである。
 そこでお互いの肉体がお互いの必然的限度までよく働いて健康を保って居れば十分美はある。
 ソヴェトの若い人間はそういう点で美しい。それだから、資本主義社会のような性の誇張というものがなくなったからと云って美は減少して居ない。
 だからソヴェトに行っても決して美に対して心配する必要はない。それ故非常に朗かで、私が丸三年ソヴェトに居た間に、男と女と仕事の上のひけ目とか区別を感じない。
前へ 次へ
全8ページ中5ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング