察を試みたいのでございます。
彼女等も人間以外の何物でもございません。
そう改めて云うと或は可笑しく響くかもしれませんけれども、私共は、お互が人間であると云う事を、余り等閑に附して、人を是非致しますから――。
彼女等の持つ力は、人間総ての女性に与えられるべきものであり、彼女等の苦しむ何等かの不安、不均斉は、又人間すべての女性が同じ涙で泣くものであると云う事を、私はいつも考えの裡に入れて置きとうございます。
――○――
こちらの婦人の体力の豊かである事は、一言の駁論も許されません。
彼女等は、思いのままに延びた美くしい四肢の所有者であり、朗らかな六月の微風に麗わしい髪を吹きなびかせながら哄笑する心の所有者でございます。
広大な地と、高燥な軽い空気は、自ずと住む人間の心を快活に致します。のみならず、婦人に向っても、何等の差異なしに開かれて居る生活の道程は、我国の婦人の強いられる極端な謙遜も卑屈さも味わせません。
彼等は、仕たい勉強が出来、生きたい形式で生き、愛すべき者を愛す権利を持って居ります。
此の生きたい形式で生きると云う事は、どの位人間の魂を広闊に
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