C先生への手紙
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)数多《あまた》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)二百|哩《マイル》程隔った湖畔は、
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「木+窄」、読みは「しめ」、163−4]
*:不明字 底本で「不明」としている文字
(例)皆此点に*して居ります。
−−
雑信(第一)
C先生――。
其後は大変御無沙汰致して仕舞いました。東京も、さぞ暑くなった事でございましょう。白い塵のポカポカ立つ、粗雑なペンキ塗の目に痛く反射する其処いらの路を想像致します。御丈夫でいらっしゃいますでしょう。
此間中から、私の思って居る種々の事を申上度いと思って居りましたが、つい延び延びに成って仕舞いました。決して忘れて居たのではございませんが、近頃、私の生活の上に起った変動は、非常に大きく私の精神上に波動を与えました。決して混乱ではございません。が、その大きく力強い濤が、勇ましく打寄せ
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