を仄聞している。かりにこれが事実とすれば、われわれは相当証拠があるのでありますが、これが事実なりとすればこの公判は起訴後の公判においてすらわれわれは検事の偽証罪、現行逮捕という脅迫のもとにこの公判をつづけねばならない。われわれはかかる検事の脅迫のもとには絶対公判をすすめることはできない。」ニッポン・タイムスは十一月五日の紙上に、当局が一二〇人から一三〇人の証人を用意していることを報道した。林弁護人の弁論とそのこととを合わせて考えるとき果して人々は何かの疑問にうたれないだろうか。
飯田被告は第二回公判(十一月十八日)の法廷で「特に残念だと思うのは証人関係です」と言及している。「本当のことをいうと偽証だといってやられる。真実を語ることができる者は、最大の勇者であるという言葉をきいたが、実際、あの雰囲気の中で、三〇回近くもよばれれば検事のいうようになって、偽証罪をまぬがれたくなる。真実をいった者は偽証罪になっている。」「これは単に私が罪になる、ならないの問題でなく、日本の民主主義を擁護しようとする民主的な人々、全人民の問題だ。」
同じ日の法廷で被告外山も「残念ながらとうとう最後までがんば
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