講義において次の如き三鷹事件に対する検事の方針がのべられている」とその内容を明かにした点である。「これは、裁判は証拠中心主義のものであって、公判において証人尋問を申請し、尋問することは重要なことである。この際A証人がのべた内容と、検事側の主張するB証人の陳述内容とが異るとき、この何れかは偽証罪となる。検事側の主張するB証人の内容が正しいのであれば、証人A、すなわち被告側に有利な証言を法廷において述べた者は、これを偽証罪の現行犯として直ちに逮捕することができる。また現在こうしなければ非常に危険である。第二として法廷における証人尋問に対して公判期日において証人尋問することはできないが、これは刑訴第二九九条によりあらかじめ証人の住所、氏名を相手方に知り得る機会を与えなければならない。しかし、証人尋問は重要なことであるので、この度の三鷹事件の公判に際して、証人を多数申請することと思うが、大事な証人になると、まずもって法廷内に証人を入れておき、公判の途中で証人申請の手続をなし、証人は現在この法廷にいるといって直ちに証人尋問をはじめる、こうすれば証人尋問を有利にすすめることができるというようなこと
前へ
次へ
全35ページ中17ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング