こまずにはおかない。あんまりつらかったときには、櫛田さん自身もきっと泣いただろうと思う。心で泣くなどというしゃれた泣きかたではなく、ポロポロ涙をおとして泣いただろうと思う。わたしまで泣いたりしてごめんなさい、でもわたし、やっぱり泣けるのよ、といいながら。――櫛田さんにはこういう飾らない、人柄まるむきのところがある。そこが彼女を型にはめず、すました女史にしてしまわないところではないだろうか。
 今日婦人民主新聞は四周年を迎える。こんにちまでに編輯長は、松岡洋子、湯浅芳子、厚木たか子、水沢耶奈子とうつってきた。のりと鍋と刷毛とをもって、生れ出る婦人民主新聞のためにビラをはって歩いた初代の編輯長櫛田ふきののちに。
 婦人民主新聞は、これらの人々の努力と読者の支援によって、だんだん新聞らしくなり、生活的になり、歴史のすすみゆく日日に役割をふかめてきている。婦人民主クラブと婦人民主新聞が、はじめからきょうまで平和のために発言しつづけてきていることは注目されなければならない。同時に終始一貫して、婦人と子供の幸福が守られない社会に、全体としての生活の安定もあり得ないことをはっきりとみ究めている態度も
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