−91−24]子は腹立たしい気にならずには居られなかった。
[#ここから1字下げ]
「なあにそんな事あるもんですか。結構ですよ、女は、あんまり大きいと腰から下がしまりがなくっていやなものですよね。
 去年から見るとどれ位いいお嬢さんにおなんなすったか知れませんよねえお祖母様さぞお楽しみでしょうねえ。
[#ここで字下げ終わり]
 部屋の隅の方で帳面をつけて居た恭吉と云う洗濯男だの蠅入らずの前で何かごとごとして居た小女などは、田舎人の罪のない無作法と無遠慮でわざわざ頭をあげて※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子の方を見て居た。
 お久美さんはだまって頭を下げて膝の所に浮いて居る白い布を集めたり手にのばしたりしながらお関に気兼をしいしい、折々※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子の眼をのぞき込んでは気の毒そうな――自分も※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子も――顔をして居た。
 ※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子はお久美さんと話したいと云う願望で胸がかたくなる様であったけれ共、仮りにも自分よりは一段下に居るべき者だと思っ
前へ 次へ
全167ページ中10ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング