を見合わせて、
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「ホラね、きっとそうだと思った。
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と無言の中で云い合った二人は厭な顔をしてそっ方を向いて仕舞った。
お関は尚憎体な笑をたたえて、
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「ねえ※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子さん、東京じゃあ今、
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と執念く云うので、かくし切れない程気をいら立たせた※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子はそれでも声だけは静かに云った。
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「さあ、どんなんでしょう。
皆各々自分のすきなのを着てるんだから一寸口じゃあ云えないでしょう。
それにそんなに私は気をつけても居ません――
「そうですか。
そいじゃあ何でしょう、貴女なんかハイカラさんなんだからどこからどこまで流行りずくめで居らっしゃるんでしょうねえ。
そんな髪が流行るんですか。
何て云う名なんでしょうね。
珍らしい頭ですねえ。
「私みたいなおちびに似合う流行はどこにもないでしょう。
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と戯談の様に云いは云っても、※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1
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