。
妙に二つ分けにした髪が似合って居る事も気に入らなかった。
お関は二人が口を利き出すのを待って居た。
何か云い出したら此方に話を引っぱって困らせてやろうと云う明かに意識される程の毒々しい期待で、喉元まで声を出し掛けて居た。
そして一方では※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子に自分の心を知らさないために盛に年寄と喋った。
張り切った心で半分覚えない様に小作人の噂をして居た時不意に※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子は低い声で、
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「お久美さん一寸。
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と云い出した。
それと同時にお関は風の様に※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子の方を向いて、
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「ああそう云えば、ね、お※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]さん。
東京ではこの頃どんな浴衣が流行って居ましょうね。
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と云うなり口元には、※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子が気づいて不快を感じた程小気味の悪い満足の微笑がスーッと上った。
チラリと目
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