うでしょうってねえ。
 ああ云う風な商売をして居ては金を借りるのにもなれてましょうから。
 けれ共近頃に行らっしゃっていただけたでしょうか。
「さあ、どうでございますかね。
 もう此頃は何ですか、いそがしがって、御覧の通り今日ももう家に居ませんのですから。
 きっと又思いながら行かれないで居るんでございましょうよ。
 それにああ云う事はどうも機《しお》が有りましてね。
「ほんとに御いそがしいのに御無理でしょうからね。
 祖母も、あんなに用が沢山御あんなさるのに御たのみして置くも心ないって云って居ますんですから、あんまり御面倒の様でしたら御遠慮なく御断り下すった方がようございます。
 僅かばかりの事なのですから、誰にでも出来ましょうから……
「いいえ迷惑の何のと云う事じゃあ有りませんのですよ、切角自分も思って仕始めた事だからどうしてもまとめて仕舞い度いとは申して居りますんですからね。
 只あんまり長く掛ってすみませんのですけれど。
「御迷惑でさえ有りませんでしたら此ちらも願って置いた方がいいんですけれ共……
 祖母も云って居るんですけれ共、どうせ返す見込みがないものならなかった物だと思っ
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