腰になって居て、隅の方にお久美さんがしょんぼり眼を赤くしてうずくまって居た。
※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子は嵐の起ったらしい様子にちょっと躊躇したけれ共何でもない様にお関に挨拶をした。
お久美さんは好い逃時の様に※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子を一寸見たきり音も立てずに奥へ引っこんで仕舞ったあとで二人は下らない世間話をして居たが機を見て※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子は却って金の催促をされる様な顔を仕ながら、
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「あの橋本の事を種々御面倒になって居りますそうですけれど、どんな工合になりましたろうね。
祖母も気を揉んで居りますし、東京の家でもなるたけ早く極りをつけたいと云ってますから。
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とやっとの思いで口を切った。
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「ああその事ですか。
それはね、ほんとにお気の毒様なんですけれど、思う様に行きませんのですよ。
第一向うは商人ですからね。
そんな事になるとなかなか抜目なく立ち舞いましてね。素直においそれとは出しませんですよ。
「そりゃあそ
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