響も小さい事ではなかったけれ共、若し自分の手元からはなれた彼女が思わぬ手蔓に思わぬ仕合わせに会う事が決して無いとは云えないと思うと、どうしてもお関は※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子に油断が出来なかった。
 何かにつけては、
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「彼那我儘な人と仲よしになったりして、一体お前はどうする量見なのかい。
 あのお※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]さんなんて、お前一体どんな人だと思って居るのかえ、
 御飯たく事も知らない様な人の云う事を一から十まで有難がって顎で指図をされて居るんだもの。
 今に好い様にされて仕舞うのはもう私にはちゃーんと見えて居る。
 馬鹿も好い加減におし。
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などと云ったけれ共、お久美さんはだまって聞いて居るばかりで、お関の望んで居る様な結果になろう筈もなかった。
 お関は今更自分の迂闊が悔やまれて、子供の事だからと、今日の様な事を考えもしずに始めに介《かま》わず遊ばせて置いたのがそもそもの手落ちであった等とも思い、見掛けによらず執念くして居る※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−2
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