すものねえ。
「そうねえ。
だけれど彼の人は一生私を離さない積りで居るんでしょう、きっと。
「どうしてまあ。
まさかそんな事は無いでしょう。
「いいえ、そうらしいの。
それも近頃なんだけれど、
ヒョッとした事で私知って仕舞ったのよ。
伯母さんは私を片輪だって云い歩いたんですって。
ほんとに私あんまりだと思った事よ。
山崎のお婆さんが、私は嘘だと知って居るからと云って教えて呉れたの。
「片輪だって?
まあ、片づけないようにそう云ってるの。
ほんとにそれじゃああんまりひどい。
「ですもの知らない人はまさか伯母さんがと思うからほんとだと思って仕舞うじゃあないの。
そんな事までして私の邪魔を仕様仕様として居るんですもの……
有りもしない事云われちゃ亡くなった母さんや父さんにだってすまないわ。
[#ここで字下げ終わり]
お久美さんは静かに涙をこぼして居た。
※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子は何と云って好いか分らなくなった。
そんなにしてまで若い女を虐めずには居られないお関が此上なく憎く醜く思われて来ると共に、此那《こんな》に打ち明けて頼りにされて
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