の人の事なんかは書いてあげない様にするの。
「そう、
そうするより外仕様がないわね。
だけれどつまらないわ。
「何が?
まあとにかく、あんまり煙ったい事許り見ると、益々ひどく当る相手は貴女一人なんですもの。
なるたけじいっとさせて置くのが好いんですよ。
此頃よりひどく成って行ったらほんとうにたまったもんじゃあありませんよ、貴女一人で。
どうかして丁度貴女が居る時にいきなり貴女の手に飛び込める様に手紙も利口になって呉れるといいけれどねえ。
私共でさえこんな馬鹿なんだもの、それに書かれる手紙がそんなに利口で有ろう筈もなし。
[#ここで字下げ終わり]
終りの言葉を※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子がさもヤレヤレと云う様な何となし滑稽な調子で云ったので結び掛って居た二人の心は又元の通りの明るさに立ち帰る事が出来た。
けれ共其れが緒に成ってお久美さんは段々淋しい話に許り向いて行った。
[#ここから1字下げ]
「私ほんとうにね、尼さんにでも成って仕舞う方が今よりはどんなにか好いと思うの。
「どうして?
尼さんてそんなに好い者だと貴女は思ってるの?
「そんなに
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