第3水準1−91−24]子は好く自分を知って呉れる二親もあり物質的の苦労を殆ど知ら無いと云って好い位の幸福な日を送って居るのに、お久美さんは二親は早く失くし兄弟も友達もなくて、心の人と異った伯母に世話をされて居た。世間知らずで有るべき年の※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子は山程積んで目を覚すとから眠るまで読んで居た非常に沢山のお話で、継母の辛さ、又は他人の家へただ世話になって居る小娘の心づかいをよく察しられる様になって居たので、自分の家のない事父母の死んだ事は甚く同情すべき事に感じられた。
友達のむずかしい※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子が此んな人を此上ない者に仕て居様等とは誰も思って居なかった。
一時はお久美さんの事を話して、
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「まあ貴女がそんな方と仲よしになって居らっしゃるの、
ほんとに思い掛けなかったわ。
「ええそりゃあほんとうよ。
[#ここで字下げ終わり]
と、友達共が阿呆な目をしてびっくりするのが面白くて、やたらと自分とお久美さんの事を喋り散した事があった。
けれ共或時何かにつれて、人を驚かす材料に自分
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