に遊び友達に成ろうとした近所の娘の髪に非常に沢山虫の住んで居るのを見てからと云う者[#「者」に「(ママ)」の注記]※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子はどんな事があっても彼《あ》の子とは遊ぶまいとかたく思いきめて居た。
 けれ共お久美さんは赤くこそあったがさっぱりした髪をして居て傍によっても彼のいやな臭いはしなかった。
 それ丈でもかなり※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子は嬉しかった上に会う所が先ずよかったので五分も立たない間に口に出してこそ云わなかったけれ共「仲よしに成りましょうね」と思い込んで居た。
 一時間程をその園の中で二人は此上なく面白い時を過す事が出来た。
 蔓からもいだ許りの実を各々が一粒ずつ拇指と人指指の間に挾んで※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子のはお久美さんに、お久美さんは※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子の口元へと腕を入れ違いにして置いて「一二三」で一時に相手の口の中に透き通る実を弾き込んだり、番小屋の汚れた板の間に投げ座りをしてお互に寄っ掛りながら得意で其の頃して居た口から出まかせのお
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