持ちつづけて来た。
お久美さんの両親のない事、力になるべき兄弟の一人も此の世に居ない事、まして彼《あ》の半病人の様なお関に養われて居なければならないと云う事はどれ程※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子に思い遣りを起させたか知れない。
小学校に入った時から飛び抜けて「仲よし」と云う友達を持ちたがらなかった※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子は始めて会った瞬間から、
[#ここから1字下げ]
「この人は私大好き。
[#ここで字下げ終わり]
と子供心に思い込んで仕舞ったお久美さんに対しては年と共に段々激しいいつくしみを感じる様になって来た。
年は自分より上であっても確かな後立てもなく厭なお伯母さんにホイホイして居なければならない人を想うと※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子は只仲よくして居るとか可愛がって居るとか云う丈ではすまない気になって居た。
自分の力の及ぶ限りお久美さんを安らかにさせてやらなければならないのだとも思い又あんな悲しい目をこらえて居られるのも二人の助け合いがさせて居るので、私がお久美さんを思わない時のない様に辛い涙
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