くまでだった事よ。
私が上って来ると、
『お※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]さんはお帰りだよ』
と云って大きな声で笑ったのよ。
私あんまりだと思ったからニコリともしないで居たけれ共何故あんなに邪魔が仕たいんでしょうね。
私にはどうしたって気が知れないわ。
「彼の人のは病気なんだもの。
「だってひどすぎてよ。
[#ここで字下げ終わり]
お久美さんはお関が変にやっかんで手紙の遣取りも会って話をするのもいやがって何ぞと云っては茶々を入れると云う事をおだやかなそれで居て思い入った口調で話すのを聞いて居る内に※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子の心はすっかりその一語一語に引き込まれて仕舞ってどんな事があってもお久美さんの云う事に塵程の間違いもない様に思えた。
自分の云う丈の事を話すとお久美さんは、あんまり遅くなるとよくないからと帰り仕度をし始めた。
[#ここから1字下げ]
「もう少し位居たって大丈夫よ。
まだ十分位ほかなりゃあしない。
[#ここで字下げ終わり]
と※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子が止めても、
[#ここから
前へ
次へ
全167ページ中24ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング