にしなけりゃあ駄目よ、ね、
 お久美さん。
 もっと元気をお出しなさいよ。
 またあしたあたり来るから、もっとピンピンして居らっしゃいね。
 ほんとにどうかして居るわ。
「有難う、大丈夫よ。
[#ここで字下げ終わり]
 お久美さんが気抜けの様な形恰をして居るのを見た※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子は家に帰ってからも心配であった。
 種々な想像が浮んで寝つかれない様な夜が明けると※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子は大変に朝早かったけれどお久美さんの所へ行った。
 そうして見ると又昨日の不安は一層加えられる程お久美さんは疲れた様子をして居て、今まで見た事もない程の青さでかたくなって居る様だった。
 ※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子は喫驚してどこか悪いのだから早く手あてをした方が好いと云っても只せわしそうに、
[#ここから1字下げ]
「ええ、ええ、
 そいだけれど、大丈夫よ。
 そいでね、
 昨日の事私やめるの、どうせだめですもの。
 だからお母様によろしくね。
「そう、そうきめたらその方が却って好かったかもしれないわね。
 ほ
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