のか」
「あれは共産党だ」
「共産党って何ですか」
「共産党っていうのは××をたおして、国をやって行こうという つまりロシアのようなものさ」
「うちの赤坊なんかまだこんなで 赤だって黒だっていいよ、こういうのは托児所へあずけて居ない」
「お前一体なんだ?」
「私かい? 私はツナやだよ」
「つなやって何でい」
「ツナやも知らないバカヤロー、つなやってのはヨイトマケさ」
「托児所へあずけさせないんなら 私ァここへ子供をおいてくよ」
「お前たち子供が可愛くないか」
「可愛いからこそ五十銭なり一円なりをボーにしておねがいに来た」
「托児所は子供をわるくする、そんなに托児所がいるなら、自分たちでやれ。」
「だって金がないから、労救のようにやって貰う」
 デマをとばし
「総同盟のようなのならいい、あっちの人たちにやってもらえ」
 かえって「総同盟って何さ」と云う。

 九時から十一時までがんばり、行政学会のおかみさんにのこれと云う、七つの男の子をつれている。
「じゃ入ろう。坊や、じゃ二人で入ろうね」
「ウン」
 もう一人の若いお母さんは赤坊を背負っている。

 二十一日の朝 デモが出たあとへ文学新
前へ 次へ
全14ページ中9ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング