話すことをきめる。
  一、褓母を早くかえしてほしい
  一、托児所のところへスパイが来ておどしたり、ものをもって行ったりしてくれるな。
 みんな話について一人一人が自分についての実験
 屑やのお父さん おいて行ったら迷子になった、
 そのあと、おしるこなどをのんだ。

 二十日、平常のとおり
「おばさん、時間ちゃんとね」
「大丈夫だよ」
「あしたよろしくね」

 二十一日、雪もよいの寒い風の日
 六時半ごろから子供をあつめる。
 屑やのお父さんが自転車で七時ごろ来る、
「おじさんどうしたんです タクちゃんは?」
 引こしがあってその荷もつを
 八時半までにつれて来る
「小母さん、じゃ煉炭に当ってて下さい ひぐまいさんが来ればすっかりそろっちゃうから」
 行くというのが父母が十三人 みんな子供をつれて行くということ。
「キットスパイが来るから 私のうちに行ってろ」
「留守たのむよ」
 という。

「何だ 何だ 何だ、お前たち何だ デモか?」
 先ず入って行ったおっかさんの頬っぺたを打った。
 屑やのお父さんが
「デモじゃない、私たちはおねがいに来たんだ」

「何故あんなことをする
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