の崖、熊ささ、しぶき、かけひの湯の音
七日目、Aかえる、自分もう少しなおしたい、そこへ部屋があいたと番頭来る。「ここだけの金を払ってるんだから動く必要はない、どうせあとに人が入るのだろう」
    見晴し台での話、
    「夏じゅう、すっかり、旅行で費してしまう。――自分のために来たのでもないのに」
    「自分のためでなくていやならすぐ、かえって頂戴!」
二十八日 黒磯でわかれ安積へ来る。
    のびやかな雰囲気へのあこがれ。四人 ヒデ男、スエ子などと大さわぎ。
    母、関の「呑気でいいことね」
    「本当に其那ことをする人なら見上げるよ。私の不明もわびよう」それではおそいという心持。
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○七日 一つ夢を見る。Aが血が出るからと云って医者を呼び、傍に居る女中に気がねして少し blood が出ると云ったのまではっきりして居る。朝医師を迎えの手紙を書きつつ、それが事実に合う悲しさを感ず
 十二月喀血(六日[#「六日」に「五日」の注記])の夜そのことを話す。風呂場で、妙なセキが出るのね、と云ったとき、
 菌のこと、自分にうつって居るかもしれぬ事
 十
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