二十三日 林町の連中安積に立つ

○云うまい、云うまい、辛い、一思いにさしたい。云い出すと、要求ばかりになる辛さ

 七月二十五日 九時頃 坪内先生が来て下さる。
 奈良から鹿のハガキ
 カーターの魔術を見に(七月三十日)祖母をつれてゆかれる父

 八月六日 九十五度 西村さん、
 自分のヒステリー的傾向。

 十日にかえる。自分辛く、顔を見るのが苦痛。うまく笑えず H、A、
 西村、「二三度斯ういうことをくりかえして居るうちに、年をとってしまう人かな」涙をながす
 若し再び生きてかえれるなら、自分は忻《よろこ》んで死ぬ、死んで、この苦しい境遇をかえ、新しい芽のように、新生涯をふみ出すだろう。

 八月十三日 A、淋しいから林町からかえれ、という。

 八月十八日 那須に十一時の夜行で立つ。車中、五六人の東山行の団隊、丸い六十近いおどけ男、しきりに仲間にいたずらをする。紙切を結びつけたりして。

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那須
登山 三日目
四五日目、Aの退屈、夏中出来なかった仕事のエキスキュースにされる。不快
六日目 ひどい雨、あのまっくらな雨
    うら
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