、最初の日の示威運動がすむとすぐに警察へ引っぱられ、そのまま、未決監へ送られたので、争議の経過は、まるで知らなかったんだ。だが、僕らが警察へ検束された翌日、ドシャ降りの雨の中を、A工場の兄弟たち千人が、警察へ示威運動に来て、警察へ委員を送って検束の理由を聞く一方労働者軍は、雨の中でその響きと和して革命歌を合唱してくれた時は、僕ら五人は中で思わず革命歌に合唱したんだ。そして、その日の夕方、その日の示威運動をリードした鈴木《すずき》君が、はだしで引っぱって来られたんだ。
僕らは、警察から検事局、検事局から未決監、予審と、順を追うて進むべき道を進んだんだ。そして、そこへ送られた五人の初犯囚は、警察の恐るべきでないと知ったごとく、****なる[#「なる」は筑摩版では「る」]べきでないことをまた知るに至ったのであった。その争議は、N市に永久に、無産者運動を据えつける基礎になった。
そして、その刑を終えると、同志はそれぞれ袂《たもと》を分かって、他の都会へ散って行ったんだ。そして、僕だけはこうして船乗りになっているんだ。白水は今は[#「今は」は筑摩版では「今」]どこで活動してるだろうと、よく僕
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