海に生くる人々
葉山嘉樹
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)室蘭港《むろらんこう》が
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)汽船|万寿丸《まんじゅまる》は、
[#]:入力者注
(例)奥深く[#筑摩版では「奥深く広く」]入り込んだ
底本(岩波文庫、1971年改版)の誤記と思われるものに関して、「筑摩現代文学大系36 葉山嘉樹集」筑摩書房、1979)などと照合した。
*:伏せ字
底本の旧版(岩波文庫、1950年)に掲載された蔵原惟人氏による解説には、5字以下のものは*で表し、それ以上のものは、その字数を注記した、とある。
−−
一
室蘭港《むろらんこう》が奥深く[#「奥深く」は筑摩版では「奥深く広く」]入り込んだ、その太平洋への湾口《わんこう》に、大黒島《だいこくとう》が栓《せん》をしている。雪は、北海道の全土をおおうて地面から、雲までの厚さで横に降りまくった。
汽船|万寿丸《まんじゅまる》は、その腹の中へ三千トンの石炭を詰め込んで、風雪の中を横浜へと進んだ。船は今大黒島をかわろうとしている。その島のかなたには大き
次へ
全346ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
葉山 嘉樹 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング