出して、一様に不愉快な気持ちを抱《いだ》いてそこへ行った。
 「皆そろったね」と船長はチーフメーツに言った。
 「ええ、これで全部です」チーフメーツは答えた。
 「それじゃ、いい渡してください」
 「ボースン、小倉、宇野、西沢、とこの四人は、下船命令、藤原、波田も同様皆、僕と一緒に海事局まで行ってくれ、それから、藤原と波田とは海事局には行かないでよろしい。手帳はあとで渡すから。二人《ふたり》は警察の方で用事があるそうだから」それが宣告であった。そして彼は、つけ加えを忘れなかった。「だから、おれが室蘭で、よした方がいいと言ったんだ。お前らが、いくら威張ってもあかん。それよりおとなしくした方が得だ。おとなしくしとれば、人の憐《あわれ》みもかかるが、強いことをいうと、こういう際にだれも相手になり手がないからな」
 「自分によくいって聞かせとくがいいや、おれらのことならお世話にゃならないや。道が異《ちが》ってるんだからなあ。そのうちどんなお礼をするか覚えてろ!」波田は怒鳴りつけた。
 「あれが波田ってやつです。あんな乱暴なやつです!」船長が言った。
 「何を! べら棒め! 死にかけた人間を打っ
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