い、と言う点に至っては彼は鼻を鳴らすことをやめた。これは彼自身に関することであった。由々《ゆゆ》しい大事であった。
 「セーラーを呼べ!」船長は無視するわけには行かなかった。無視すれば船も動かないだろうし、横浜で正月もできないし、それに、彼のサンパンに対して、文句をつけるとは全く、けしからぬのであった。
 船長は、スタンバイの命令を出しっ放して、サロンへはいって、そこで、水夫らを「とっちめ」てやろうと待ち構えた。船員手帳は、チーフメーツに持って来さして、テーブルの上へ積み上げた。
 かわいそうに、ボースンと大工は、フォックスルで鼻水を凍らせていた。
 機関長はエンジンへはいって、ハンドルへ、手をかけて待っていた。
 蒸気は、どんどん上がって来た。セーフチィヴァイヴァルヴが、吹きそうになって来た。サロンのテーブルにはメーツが船長の両側に並んだ。チーフ、セコンド、サードと。
 ボーイはおもてへ飛んで行った。
 「セーラー全部、ボースン、大工、コーターマスター、みな、残らず、サロンまで来てくれと、船長が言ってるよ。大至急!」煙のように、彼は、また、飛んで去った。
 そこで水夫らは出かけた。

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