橋へ作られた漏斗《じょうご》の上へ落ちる。そして、船のダンブルへドドッと雪崩《なだ》れ込むのである。彼らが労働する部分は皆鉄ででき上がっている。そして、その鉄は焼き鏝《ごて》のように、それに触れると肉を引んむいてしまう。彼らは帆布で作った大きな袋を足に「着て」いる。彼らはまた毛布と毛布との間に、綿や毛などを詰めた赤や灰色の仕事着を着ている。それは、彼らが、その目の回るような、過激な労働時間以外に着ている、唯一の防寒具である。彼らは、また、皆、鎮西八郎為朝《ちんぜいはちろうためとも》が、はめていただろうと思われるような、弓の手袋に似た革《かわ》手袋の中で、その手を泳がせている。
 北海道の寒風がりんごの皮を緻密《ちみつ》にし、その皮膚を赤く染めたように人足らも、その着物を厚くし、その頬《ほほ》を酒飲みの鼻の頭のようにしている。
 だが高速度鋼のカッターは、鋳物を、ナイフで大根でも削るように削る。と同様に北海道の寒風は、労働者たちから、その体温をどんどん奪ってしまう。桟橋の上で働いていることは、焔《ほのお》の中へ氷を置くのと反対な、しかし似合った作用をする。
 彼らは、その労働を終えた時、
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