、日本の資本主達が富んだのは! 労働者はその代わり過度労働ですっかり、からだをブチこわしてしまった!
 夕食は船ではとっくに済んだのに、昼ごろふさがってしまったハッチ口はまだ開かなかった。デッキの下では、――テーブルの下あたりでも、ボーイ長の寝箱の下あたりでも、あちこちで、ゴトゴトと、異様な響きが絶えず続いた。そして時々うなるような人声が聞こえた。そして、それらも七時を過ぎると、ようやく穴があいた。それは難治の腫《は》れ物が口を開いて膿《うみ》を出し切ったのと同じ喜びを人足たちに与えた。山の絶頂へでも登りついた人のように、彼らはショベルを杖《つえ》にして石炭を踏みしめて上《のぼ》って来た。
 そして、その例外に太い握り飯にありつくのであった。
 彼らはこうして、ダンブルの中で土蜂《どばち》のような作業に従って、窒息しそうな苦痛をなめている時に、その境涯をうらやんでいるものさえあった。
 それは高架桟橋上の労働者であった。それは船のマストと高さを競うほども高いのであるから、その風当たりのよいことは、送風機のパイプの中のようであった。
 彼らは、石炭車の底部にある蓋《ふた》をとる。石炭は桟
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