、ショベルでかき寄せた。上の漏斗《じょうご》からの出方が速くて量の多い時は、数十人の人夫のショベルの力は間に合わないで、船のハッチ口は石炭でふさがってしまい、人足たちは船艙の四すみのあいたところへ密閉されてしまった。
彼らは、苦しさと暗さとから、その身を救うために、そのありたけの力で、石炭をすみの方へかき寄せた。そのショベルの音、石炭のザクザク鳴る音、彼らが何か呼ぶ声が、デッキの上をあるいていると、初めての者にはどこから聞こえて来るかわからないのと、その音がまるでもしあるなら冥土《めいど》からでも出ただろうといったふうな妙に陰気な響きであるので、必ず驚かされるほどであった。そしてハッチ口に山のように高く積んだ石炭は、うまくダンブルへ収まって、中の労働者が上へ上がることができるだろうかと、心配せずにはいられないほど高かった。
労働者たちは、時とすると半日も石炭に密閉されて、隧道《トンネル》に密閉された土工のように、暗い中で働いているのであった。出て来ると、まるでからだじゅうが肺ででき上がった人形ででもあるように、幾度も幾度も飽かずに深呼吸をしているのであった。そして、ごま塩のついた、
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