見える、年配の人が多いのであった。それは皆四十を越しているか、そうでなければまだ十五、六の子供かであった――そんなのが娘さえも交じって四、五人いた――働き盛りの者はどこにいるだろう? と、人々は思わずにはいられなかった。
働き盛りの者は、夕張《ゆうばり》炭田の、地下数千尺で命をかけて、石炭を掘っているのだ! それに、彼らの息子《むすこ》や娘が、そっちへ出かせぎに行っているのだ。そして、帰って来れば、不具者か敗残の病躯《びょうく》か、多くは屍《かばね》になって帰って来るのだ。
「おれも、片輪になって帰らねばならないだろうか」ボーイ長は、灰になりかけた石炭のような、味気ないさびしさに心を虫食われた。
「サア、行こうか、今度は僕が負《おぶ》うからね」藤原が言った。
人足の人たちも手伝ってくれて、ボーイ長は藤原に負われた。三人は、また、四本の足をもって、馬蹄形《ばていがた》の海岸の石崖《いしがけ》の端を、とぼとぼと拾い歩きして行った。そうして、藤原は丈《たけ》が高かったにしても、雪は二尺から積もっていた。踏まれた道は狭かった。ボーイ長は、道ばたの高い雪へ、足で合図の印《しるし》でもつけ
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