つして、それを漕いで行った。
そして、そのまま、どこへ行ったか、見えなくなってしまった。カッターはそのあとでおろされた。そしてそれは、サードメーツ、チーフメーツまで乗り込んで、ほんとうに漕ぎ方の練習をやった。「伝馬は」といって、チーフメーツはカッターの上へ立って方々をながめたが、それは見えなかった。
カッターは引き上げられた。そして日は暮れた。伝馬はもちろん帰って来なかった。伝馬の連中が、もし、船長を連れて行ってるならば、このような問題は起こらないのだったが、船長は船に残っていたのだ。
船長は、たたき落とされた熊蜂《くまばち》の巣みたいに、かっとなって憤《おこ》った!
自分の妻君の姦通《かんつう》をかぎつけた亭主のように、その晩船長は一睡もしなかった。そして、そのおかげで、ボーイも眠れなかった。というのは、船長は、のべつに、ベッドから飛び上がっては、「ボースンはまだ帰らないか、帰ったらいつでもいいから、すぐにおれのところに連れて来い、わかったか」だの「伝馬はまだ見えないか」だのと、怒鳴り続け、ベルを鳴らし続けたからである。
「まるで狂人病室だ! 看護人はたまらん」ボーイは背中
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