なので、仕事はすこぶる危険であった。ウッカリするとウォーニンのあおりを食って、海へ飛んで行かねばならなかった。それにしても、若い水夫らにとっては、それは、全裸であばれ回ることが「痛快」なことであった。彼らはしまいには、少々寒くなりながらも、裸でその作業をなし終えた。ところが、妙な船長だ! ボースンが裸ですぐ飛んで出なかったというので、ひどくボースンをしかったのだ!
 全くこれは予想外の悪い結果を水夫たちはもたらしたものだ。水夫たちでは、漁船じゃあるまいし、全裸で「船長」の見て「いられる」前で作業することは無礼だと、船長は考えるだろう。だが、ウォーニンを取りはずすことは、また急いでいるんだろう。だから、こういう時を利用して、やつの鼻先におれらの×を拝ませてやれというつもりだったのだ。
 ところがその晩ボースンは船長から「ねじ」のぐらつくほど「油をしぼられた」のであった。「そんなふうでは非常の時に役に立たない、かえって邪魔になるくらいなもんだ」というんだ。
 それにはボースンはひどくしょげた。水夫たちも、方角違いの飛ばっちりに、いささか、恐縮したのだった。
 だがそれは、問題にならずに、直
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