を生命の危難に打《ぶ》っつけてしまった。それが、『今』の問題なんだ。これはボーイ長にその形をとって現われたのだが、パンを得るために、船のりになるなどと言うことは、針のついた餌に釣られた魚と同じことなんだ! それはわれわれ全体に一様に変わりのない運命なんだ。われわれには、鉤についた餅よりほかには、どこにも餌がないのだ。君も二度まで沈没船に乗っていたというじゃないか、その時に、もし万一君が死んでいたら、どのくらい君の家族は嘆いただろう。もしその時に、君がだれかに救われなかったとしたら、君は、その嘆きを家の者にかけなければならなかったんだ、そうではあるまいか。それは、どこへ行っても餌に鉤がついてるから起こることなんだ。
 だが、小倉君、君の言うことはわかる。僕らは馬車馬のように生活するか、餓死するかどちらかなんだ。ほんとうに、僕らが、僕らの持っている偉大な力に、自分から驚く時の来るまでは、いたずらに、僕らは犬死にをしなければならないんだ」上陸の時以外に彼らが口にすることのできない一杯の紅茶は、彼らを興奮せしめたように見えた。藤原は自分でもそう思いながら、自分に追っかけられて話しつづけるのであ
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