った。
「わかったよ、藤原君! 僕らは、一飛びに跳《と》ぶことよりもジリジリ進む方がいいんだろう。自分だけがブルジョアになろうとするよりも、成功しなくてもプロレタリアの戦士で、倒れた方がいいんだ。僕には、それがよくわかるんだ。そしていつも君たちには敬服してるんだ。だが、僕には、その勇気と、決断と、信念とがないんだ! つまり憶病者なんだ! 僕は! 卑怯者《ひきょうもの》なんだ! だが、僕は、今度は、やるよ、やって見よう! コーターマスター四人をも起《た》たせて見よう。僕にもようやくわかったような気がするよ」小倉は、ようやく厄介なものを払いのけた、と言ったふうな顔つきをして残ってる菓子を摘まんだ。
「それで」と西沢は口を切った。「だれが船長に打《ぶ》っつかるんだい」彼は、まるっ切り黙ってるわけにも行かない場合にしゃべるような、それと同じ気持ちで、同じようなことをそこへ吐き出した。
「おれたちじゃとても太刀打《たちう》ちができねえから、やっぱりストキに頼むんだね」
「じゃあ、今夜要求条件をこしらえて、それに全部で連印して、それを船長に提出しようじゃないか」波田がいった。
「いいだろ
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