的な欲望に変わるのだ。自由を奪われたものは自由を生命より尊いと思うようになるものだ。
菓子には、銀色の小さなフォークが楊枝《ようじ》代わりについていた。紅茶のコップは銀のスプーンがついていた。彼らは、これらの器物を汚《よご》さないように、気にしながら、たちまちのうちに第一の皿《さら》をあけて、第二番目が注文された。
三三
彼らは甘いものに対する渇望がややいやされた。そこでボーイ長へ持って帰る菓子が注文された。それから彼らは、ボーイ長の負傷について「とも」の取った態度について、われわれは、どういう形において抗議するか、また、三上のような、事件をひき起こさずには置かない、船長のめちゃくちゃな態度に対して、そしてこれらのことを交渉するならば、労働時間もハッキリと決めてもらうこと、それに賃銀がまるで相場はずれだから、も少し上げてもらうこと。――当時欧州大戦乱時代であって、石炭は水夫たちの寝るべき室にまで詰め込まれたほどであり、従って、汽船会社の利益は莫大《ばくだい》なものであった。――それに、日曜でも何でも出帆入港でとられれば、それで休日はおじゃんになるが、それは休日を翌日回
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