いくつか置いてあった。右の室は日本室で六畳であった。
 セーラーたちは、テーブルの方の室へ、油だらけな同勢を押し込んだ。けれども東洋軒は驚かなかったというのは、波田は、いつもその格好で来て、必ず二円ぐらいは食って行くからであった。
 テーブルには白い布がかけてあった。それを力をいれて指でこすると、黒くなるのであった。どんなに手に石鹸《せっけん》をつけて軽石でみがいたあとでも! 彼らはそれで用心をした。金つばと、栗饅頭とを小僧さんがお茶と一緒に持って来てくれた。
 彼らは、まるで飢饉《ききん》地方の住民のように、飛びついて、食べた。ことにその中でも、波田は仲間からさえ驚嘆されるのであった。しかし、彼らがそのものを要求するのは、囚人が甘いものを宝玉よりも数十倍も数千倍も、比較にならぬほど望み、ほしがるのと同じことだ。
 何かを人間から、奪うならば、たちまち奪われたものが、奪われたものにとっては一番切実な要求となり、願望となるのであろう。光線を奪えば光線、空気を奪えば空気を、活動、音声、嗜好品《しこうひん》、それらは、それが奪われるまでは第二義的であっても、奪われると同時に、それは一切第一義
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