すために、各《おのおの》、危険と鼻面《はなづら》を突き合わせて、凍え、飢え、さまよいながら、労働すべきであった。で、一切はおめでたくその通りに進行し、幾千代かけてのどかなる年の初めが、十日の内には来るべきであり、また、めでたくも暦さえ間違いなくば来るのであった。
 そこでブルジョアどもは新年宴会をやるのであった。二次会が開かれるのであった。
 が、そんなところまで、話を飛び越えてはならない。

     三一

 ボイラーを吐き出すと、すぐに飯を食った水夫たちはそのまま船首甲板へ上がって、桟橋横付けの作業にとりかかった。ボーイ長は、食事の時に藤原に頼んで、
 「今夜はぜひ病院へやってもらうように、船長に頼んでくれませんか、もうこの上とても辛抱がなりません」というのであった。
 「いいよ。だがね、今から、桟橋だから、桟橋へついてからにした方がいいと思うよ。それにまず、そんなものはどうでもいいとしても、順序ってものがあるそうだから、ボースンに一度話して、ボースンから最初に話し込んでもらって、僕も、その時、一緒について行って話をつけたらいいと思うよ。ま、何にしても、苦しいだろうが、今夜まで待
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