て困るのだ! かくておもての「ゴロツキ」どもは、完全に何も知らなかった。自分の手帳まで事務室に取り上げられてしまうのであった。そして、ついでに判も。かくて、彼らは、ゴロツキにされてしまうのであった。
そこでは、何でもふんだくる者が紳士であることは、十八世紀の英国のゼントルマンとすこしも変わることはなかった。そして奪われるものは、いつでも、ゴロツキであるのだ! 全く奪われるものは、いつでも、ゴロツキであるのだ! 奪うものと奪われるものとの間、ゼントルマンとゴロツキとは絶えないのだ!
「生存権すら主張ができない」ことは、どんなに、ボーイ長をいらだたせたことだろう。そこに人間の生命の疾患に対しての、病院がいくつも甍《いらか》を並べているのに、彼はそのまま、横浜からまた船で戻ってしまったのだ。そして、それは船長が自分の船のボーイ長がけがをしたことなどは、チーフメートから聞いたまま「忘れてしまった」ことが原因かもしれないのだ。またそんなものを病院なんぞに入れることはもちろん、そのけがが「なおらねばならない」必要を認めない、ことに起因するかもしれないのだ。そして、きっとそうなのだ。
それは確
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