こしらえることを考えた。
 「ねえさん、おそくなって済まないがね、もしできたらすきやきがやりたいんだがね。寒いんだから、すきやきでないととても暖まらないからね」と小倉は注文した。
 「ええ、できるわ、きっと、あなたの事だから。ホホホホホ、お銚子《ちょうし》は?」と立ちながら、彼女は聞いた。
 「酒を持って来るんだ」三上が受けた。
 「ホホホホホ、一切合財皆もちろん、――だわね」と唄《うた》にしながら、下へ注文を通しにおりて行った。
 二人は、どてらに着換えて、その着てたもの全部を、柱にかけた。
 彼らは人が恋しかった。ことに女が恋しかった。どんな動機からであろうとも、彼らに優しい言葉をかけてくれる女性は、この地上に、もし生きていればその母か姉妹だけであった。
 けれども、彼らは、それらをまるで失ってしまっていたか、まるで知らなかったか、または、それをはるかに遠くへ残して来ているのであった。
 優しい女性! それは、彼らには、何物よりも貴《たっと》い宝玉であった。一切の歴史から虐《しいた》げられて来た、哀れなか弱い女性! 彼らが反抗する必要のない、彼らによってまでも愛護されなければならな
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