ででもいるというような感じを与えた。彼らは、あらゆる悪徳と、自暴自棄と、そうして飢餓との頂点から、いつでも、決して離れたことがなかった。
死にかけた犬にも蚤《のみ》やだにがついているように、飢えたる彼らの周囲にも、飢えた小売り商人が大福|餅《もち》や巴《ともえ》焼きなどを、これもほとんど時なしに売っているのであった。
その夜は、それらの夜店も見えなかった。
三上と、小倉とは、その凍寒と、飢餓とから逃《のが》れるために、旅籠屋《はたごや》か、飲食店かをさがさねばならなかった。彼らは、それ以上、寒さにも飢えにも堪《た》え切れないように感じた。彼らは、そのよく知った地理によって、夜おそくまで、あるいは徹夜でも営業する飲食店が、どの辺にあるだろうとの見当はついていた。
それは彼らが今さまよっている海岸付近か、でなければ遊郭の付近であった。
彼らは、大通りに出た。そして十五、六間も歩いた時、その横丁に港町独特の飲食店がまだ起きているのを見いだした。二人はすぐ、そこにはいった。二人の異様な風態も、その凍えたぬれたところなども港町の飲食店はなれていた。幸いに、二人は、そこの一室へ、そのズブ
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