るんだ。われらを教えわれらを導き、われらの理想を作り、われらの戦術を考え、われらの道徳を定め、人類共同の社会を建設する。それらは皆、われら自身でやるんだ。そしてわれらとは、すべて額に汗して働くもののことだ!

     一八

 伝馬《てんま》はすべった。そして船長は寒くて、二人《ふたり》は汗まみれになって、日本波止場へついた。
 船長は、飛び上がった。トランクも投げ上げられた。
 小倉は、纜綱《ともづな》を波止場に纜《もや》った。そして二人ともその浮波止場に飛び上がった。
 船長は、まだ十分その権力が裏づけられていなかった。船長は、ポケットから、その金時計を出して、機械マッチで今が一時四十分であることを知った。彼は自動車で十五分、二時には家へ帰りつける。で早く、「この油断のならないナラズ者」どもを、本船へ帰してやらねばならなかった。
 彼はポケットから、五十銭銀貨を二枚つかみ出して、それが確かに二枚であることを知って、それを、小倉に渡した。
 「蕎麦《そば》でも食ったらすぐ帰れよ! おそくならんように」そういうと彼は、そのままトランクを持ってスタスタ歩き始めた。
 「船長!」と、三上
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