係だ」遂々《とうとう》私は切り出した。
「あの女は俺達の友達だ」
「じゃあ何だって、友達を素っ裸にして、病人に薬もやらないで、おまけに未だ其上見ず知らずの男にあの女を玩具《おもちゃ》にさすんだ」
「俺達はそうしたい訳じゃないんだ、だがそうしなけれゃあの女は薬も飲めないし、卵も食えなくなるんだ」
「え、それじゃ女は薬を飲んでるのか、然し、おい、誤魔化《ごまか》しちゃいけねえぜ。薬を飲ませて裸にしといちゃ差引|零《ゼロ》じゃないか、卵を食べさせて男に蹂躙《じゅうりん》されりゃ、差引欠損になるじゃないか。そんな理窟《りくつ》に合わん法があるもんかい」
「それがどうにもならないんだ。病気なのはあの女ばかりじゃないんだ。皆が病気なんだ。そして皆が搾《しぼ》られた渣《かす》なんだ。俺達あみんな働きすぎたんだ。俺達あ食うために働いたんだが、その働きは大急ぎで自分の命を磨《す》り減《へら》しちゃったんだ。あの女は肺結核の子宮癌《しきゅうがん》で、俺は御覧の通りのヨロケさ」
「だから此女に淫売をさせて、お前達が皆で食ってるって云うのか」
「此女に淫売をさせはしないよ。そんなことを為《す》る奴もあるが、俺
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