。但かかる事は数十年慣れ来りし誤を一朝に改めんとすれば非常に困難を覚ゆれど初め教へらるる時に正しき字を教へこまるれば何の困難もなき事なり。小学校の先生たちなるべく正しき字を教へたまへ。[#地から2字上げ](三月四日)
誤りやすき字左に
段鍛[#「段鍛」に白丸傍点]は「たん」にして假蝦鰕霞遐は「か」なり。段と※[#「蝦−虫」、第4水準2−3−64]《か》と扁《へん》もつくりも異なるを混同して書く人多し。
蒹葭[#「蒹葭」に白丸傍点]は「あし」「よし」の類なるべし。葭簀張《よしずばり》の葭も同字なり。しかるに近頃葮[#「葮」に白三角傍点]の字を用ゐる人あり。後者は字引に「むくげ」とあるはたしかならねど「よし」にあらざるは勿論なり。
「おき」は沖[#「沖」に白丸傍点]なり。しかるにこの頃は二水《にすい》の冲[#「冲」に白三角傍点]の字を用ゐる人多し。両字とも水深の意なきにあらねど我邦《わがくに》にて「おき」の意に用ゐるは字義より来るに非ずしてむしろ水[#「水」に白丸傍点]の真中[#「中」に白丸傍点]といふ字の組立より来るに非《あらざ》るか。
汽[#「汽」に白三角傍点]車の汽を※[#
前へ
次へ
全196ページ中55ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
正岡 子規 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング