墨汁一滴
正岡子規

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)枕辺《まくらべ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)巻紙|状袋《じょうぶくろ》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「奚+隹」、第3水準1−93−66]

 [#…]:返り点
 (例)行々不[#レ]逢[#レ]仏。

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)しば/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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 病める枕辺《まくらべ》に巻紙|状袋《じょうぶくろ》など入れたる箱あり、その上に寒暖計を置けり。その寒暖計に小き輪飾《わかざり》をくくりつけたるは病中いささか新年をことほぐの心ながら歯朶《しだ》の枝の左右にひろごりたるさまもいとめでたし。その下に橙《だいだい》を置き橙に並びてそれと同じ大きさほどの地球儀を据《す》ゑたり。この地球儀は二十世紀の年玉なりとて鼠骨《そこつ》の贈りくれたるなり。直径三寸の地球をつくづくと見てあればいささかながら日本
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