遊于下原
石上《いそのかみ》ふりにし妹が園の梅見れどもあかず妹が園の梅

  正月晦日
皆人の得がてにすちふ君を得て吾《わが》率寝《いぬ》る夜は人な来《きた》りそ

  自玉島至下原途中
矢かたをうち出て見れば梅の花|咲有《さける》山辺《やまべ》に妹が家見ゆ

  河辺渡口
若草の妻の子故に川辺《かわべ》川しば/\渡る嬬《つま》の子故に

  自下原至篠沖村路上
吾妹子《わぎもこ》を山北《そとも》に置きて吾《わが》くれば浜風寒し山南《かげとも》の海

  夜更けて女のもとに行きて
有明《ありあけ》の月夜《つくよ》をあかみ此園《このその》の紅葉《もみじ》見に来《き》つ其《その》戸|令開《ひらかせ》

  従児島還一宮途中
妹《いも》に恋ひ汗入《あせり》の山をこえ来れば春の月夜に雁《かり》鳴きわたる

  失題
妹が家の板戸|押《おし》ひらき吾《わが》入れば太刀の手上《たがみ》に花散りかゝる
夕闇の道は暗けど吾妹子に恋ひてすべなみ出《いで》てくるかも
遠くともいそげ大まろ吾妹子に早も見せまくほしき此文
吾妹児破《わぎもこは》都婆那乎《つばなを》許多《ここだ》食※[#「奚+隹」、第3水
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