備後《びんご》三郎|大人《うし》の詩の心を
吾|大君《おおきみ》ものなおもほし大君の御楯とならん我なけなくに

  失題
大君の御門《みかど》国守《くにもり》まなり坂|月《つき》面白しあれ独り行く(御門国守まなり坂は皆地名)
高島の神島山を見に来れば磯まの浦に鶴《たず》さはに鳴く
妻ごみに籠《こも》りし神の神代より清《すが》の熊野に立てる雲かも
うへ山は山風寒しちゝの実《み》の父の命の足冷ゆらしも

  三家郷八幡大神の大御行幸《おおみゆき》を拝み奉りて
掛《かけ》まくも文《あや》に恐《かしこ》き、いはまくも穴に尊き、広幡《ひろはた》の八幡《やはた》の御神《みかみ》、此浦の行幸《いでまし》の宮に、八百日日《やおかび》はありといへども、八月《はつき》の今日を足日《たるひ》と、行幸して遊び坐《いま》せば、神主《かみぬし》は御前に立ちて、幣帛《みてぐら》を捧げ仕《つか》ふれ、真子《まなご》なす御神の子等は、木綿《ゆう》あさね髪|結《ゆ》ひ垂《た》らし、胸乳《むなぢ》をしあらはし出だし、裳緒《もひも》をばほとに押し垂れ、歌ひ舞ひ仕へまつらふ、今日の尊さ

  十一月三日芳野村看梅作歌
板倉と撫
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